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Staff Blog

きみづか整形外科 理学療法士によるブログ

地域のみなさまがいつまでも笑顔で元気な生活を送れるよう
私たち理学療法士からのメッセージ

腰部脊柱管狭窄症患者さん向けの体操2(神経由来の下肢疼痛、痺れの緩和を目的として)

 腰部脊柱管狭窄症は神経の通り道が何らかの原因で狭小化することで神経の圧迫障害が生じます.神経が圧迫を受けやすい場所に,椎間孔と言われる部位があります.これは上下の背骨の間で神経の通り道になる部位です(図1).背骨は運動によって動きますので,この椎間孔もそれに合わせて動き,狭くなったり広くなったりします.神経の圧迫による症状の緩和を考え運動療法を選択するには,椎間孔が運動方向でどのように変化するかに留意して頂くことが重要ではないかと考えます.

図1 椎間孔(文献1より一部改変して引用)

 この部位の面積は運動方向によって変化することが明らかになっております.つまり,前屈すると広がり後屈すると狭まります(表1).当然神経の通り道になっている部位の面積が狭まれば神経の圧迫が生じやすく,広がれば神経の圧迫を軽減することが期待できる訳です.

表1 運動時の椎間孔面積(文献2より一部改変して引用)

 これらの報告を元にお勧めしたいのは椎間孔拡大体操です.方法は1.四つ這いで腰をできる限り丸め,2.そのあとできる限りお尻を後ろに下げる(この時さらに腰を丸められると理想的)運動です.これを10回を1セットとして,一日3セットほどやって頂けばと思います.但し,運動によって下肢の疼痛や痺れ,腰痛が増悪する場合はすぐに中止してください.また,膝関節の可動域制限(関節が硬くなり曲げ伸ばしの範囲が狭くなっていること)がある場合は無理のない範囲で行ってください.

図2 椎間孔拡大体操

 運動療法全般に言えることと感じていますが,症状が消失する残るの二者択一ではなく,症状が残っているけれど疼痛や痺れの頻度が減少した,または程度が軽いものになっている場合は状態が好転していると解釈し運動療法を継続して頂ければと思います.やる意義は十分にあると思います.

引用文献
1)Akdemir G:Thoracic and lumbar intra- foraminal ligaments. J Neurosurg Spine13:351-355,2010.
2)W Zhong, SJ Driscoll, TY Tsai, et al:In vivo dynamic changes of dimensions in the lumbar intervertebral foramen.Spine J15:1653-1659,2015   

理学療法士 渋谷拝

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